暦年課税とは?基礎控除110万円の賢い使い方や相続税の注意点をわかりやすく解説【2026年版】

http://benefit-succession.com/wp-content/uploads/2026/03/fc0dbd23ec39f7d543df704263655fcb.jpg 相続税

暦年課税では、年間110万円以下の贈与は原則として贈与税がかかりません。ただし、「いつ渡すか」「誰に渡すか」「毎年どう続けるか」で、本当に有利かどうかが変わってきます。この記事では、暦年課税の基本、定期贈与や名義預金の注意点、相続開始前加算の7年化まで整理し、毎年の贈与設計で何に気をつけるべきかをわかりやすく解説します。

毎年の贈与設計に不安がある場合は、相続税との関係まで含めて一度整理しておくと安心です。税理士ドットコム

暦年課税とは何ですか?

暦年課税は、その年の1月1日から12月31日までにもらった財産の合計額を基に贈与税を計算する考え方です。親や祖父母が子や孫に毎年少しずつ財産を移したいときに、最初に検討されやすい方法です。

「毎年110万円まで」という言い方だけが一人歩きしやすいですが、実際には、誰が誰に、いつ、いくら、どのように渡したかで意味が変わります。相続税の生前対策として使うなら、相続開始前加算の仕組みを確認した上で考えることが欠かせません。

項目内容注意点
📅 計算単位1年ごとの合計額毎回ではなく年間合計で見ます
💴 基礎控除110万円受贈者ごとに年1回です
📊 税率一般税率・特例税率年齢と関係性で変わります
📝 申告基礎控除後に課税価格がある場合は原則必要翌年2月1日から3月15日までです

110万円までなら、本当に安全ですか?

贈与税だけを見れば、年間110万円以下なら課税されないのが基本です。ただし、相続開始前の生前対策として考えると、それだけで安心とは言い切れません。

たとえば、親が法定相続人である子に毎年110万円以下で贈与する場合、その贈与が相続開始前加算7年以内に入っていれば、たとえ110万円以下でも、贈与時の価額を相続財産に加算して相続税を計算します。
一方で、法定相続人ではない孫や子の配偶者への贈与は、原則としてその加算対象外です。つまり、同じ110万円でも、法定相続人ではない孫や子の配偶者に渡す方が、有利に働く場面があります。

まず全体像から確認したい方は、親記事の「贈与税とは」もあわせて確認してください。
贈与税とは

一般税率と特例税率はどう違いますか?

18歳以上の子や孫が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受ける場合は、特例税率が使えます。通常の贈与より税負担が軽くなる場面があるため、誰が誰に渡すかは税率の面でも重要です。

一般税率と特例税率の違い
項目一般税率特例税率
主な対象通常の贈与18歳以上の子・孫が直系尊属から受ける贈与
税負担の見え方比較的重くなりやすい一部で軽くなりやすい
確認ポイント誰から誰へ渡すか年齢と関係性を確認します
📊 一般財産用の贈与税率表
区分基礎控除後の課税価格税率控除額
👤 一般財産用200万円以下10%0円
👤 一般財産用300万円以下15%10万円
👤 一般財産用400万円以下20%25万円
👤 一般財産用600万円以下30%65万円
👤 一般財産用1,000万円以下40%125万円
👤 一般財産用1,500万円以下45%175万円
👤 一般財産用3,000万円以下50%250万円
👤 一般財産用3,000万円超55%400万円
🎓 特例贈与財産用の贈与税率表
区分基礎控除後の課税価格税率控除額
🎓 特例贈与財産用200万円以下10%0円
🎓 特例贈与財産用400万円以下15%10万円
🎓 特例贈与財産用600万円以下20%30万円
🎓 特例贈与財産用1,000万円以下30%90万円
🎓 特例贈与財産用1,500万円以下40%190万円
🎓 特例贈与財産用3,000万円以下45%265万円
🎓 特例贈与財産用4,500万円以下50%415万円
🎓 特例贈与財産用4,500万円超55%640万円

定期贈与とは何ですか?

毎年同じ時期に、同じ金額を、同じ相手へ渡し続けていると、最初から総額や期間が決まっていた贈与ではないかと見られることがあります。これが定期贈与といわれる典型的な注意点です。

たとえば、Bさんが節税のため、孫2人に毎年100万円ずつ、10年間渡す前提で贈与を続けていたケースでは、毎年の独立した贈与ではなく、10年間にわたる権利を一括で渡したと見られるおそれがあります。その場合、想定していなかった贈与税が課される可能性があります。

ここで大切なのは、毎回の贈与を独立した契約として整えることです。贈与契約書を毎年作る、時期や金額を固定しすぎないなど、形式と実態の両方を意識する必要があります。

論点見られやすいケース整え方の考え方
📅 定期贈与毎年同額・同時期・同条件で続ける毎回贈与契約書を交わす、金額や時期をずらす
🏦 名義預金通帳や印鑑を贈与者が管理する受贈者に通帳や印鑑を管理させ、その口座に送金する
🧾 形式だけの贈与受贈者が使えない・知らない実態まで含めて成立させる

相続開始前加算の7年化とは、何が変わったのですか?

法定相続人への暦年課税による贈与は、相続開始前の一定期間に行われたものについて、相続税の計算で持ち戻して考える仕組みがあります。現在はこの対象期間が7年へ延長されています。しかも、贈与税がかからない110万円以下の贈与でも、相続税の計算では、その贈与額を相続財産に加算する必要があります。

なお、改正前は相続開始前加算は3年以内とされていました。令和5年度税制改正により加算対象期間は7年へ延長されましたが、延長された4年間分の贈与については、総額100万円まで加算されません。単純に「全部持ち戻し」と覚えるのではなく、仕組みを整理しておくことが大切です。

項目概要注意点
⏳ 対象期間7年相続開始時期との関係で確認が必要です
💴 110万円以下の贈与相続開始前7年以内なら加算対象になることがある贈与税がゼロでも安心とは限りません
🧮 延長4年分総額100万円の加算対象外あり仕組みの整理が必要です

子・孫・子の配偶者への贈与で、何が変わりますか?

暦年課税では、誰に渡すかで相続税に関係するかどうかが変わります。
親から法定相続人である子への贈与は、相続開始前加算の対象になります。
一方で、法定相続人ではない孫や子の配偶者への贈与は、原則として相続開始前加算の対象外となるため、暦年課税による贈与では有利に働く場面があります。

贈与相手見方のポイント注意点
👨‍👩‍👧 子相続税との関係を強く見る相続開始前加算に注意します
👦 孫原則として加算対象外です定期贈与や名義預金に注意します
💍 子の配偶者原則として加算対象外です贈与の目的と金額の整理が必要です

相続時精算課税との違いは、どこを見ればよいですか?

暦年課税は、法定相続人ではない孫や子の配偶者に年間110万円ずつ渡す場合に、有利に働く場面があります。いっぽう、相続時精算課税は、法定相続人である子に年110万円の基礎控除を長期にわたって使いたい場合や、相続税がゼロまたは低い見込みで、まとまった財産を早めに移したいときに候補になります。

制度向いている場面注意点
📅 暦年課税毎年、法定相続人以外に基礎控除110万円を贈与する場合7年加算や定期贈与を確認します
🏦 相続時精算課税・法定相続人である子に基礎控除110万円を贈与する場合
・相続税額がゼロまたは低い見込みで、まとまった財産を早めに移したいとき
・一度選ぶと暦年課税に戻れません
・自宅土地などを先に贈与すると、小規模宅地等の特例が使えず不利になる場面があります

制度選びまで含めて判断したい方は、次の記事もあわせて確認してください。相続時精算課税とは

毎年の贈与設計に不安がある場合は、相続税まで含めて一度整理しておくと安心です。税理士ドットコム

よくある質問

毎年100万円ずつなら問題ありませんか?

毎年の贈与が独立した契約として成立しているかが大切です。同額・同時期・同条件が続くと、定期贈与と見られるおそれがあります。

110万円以下なら相続税でも関係ありませんか?

いいえ。子などの法定相続人に贈与した場合、相続税の計算では相続開始前加算の対象になることがあります。贈与税がゼロでも、相続税側の確認は必要です。

孫への贈与は有利ですか?

暦年課税で法定相続人ではない孫への贈与は、原則として相続開始前加算の対象外となるため、有利に働く場面があります。ただし、定期贈与や名義預金など、別の注意点もあります。

毎年の贈与設計に不安がある場合は、契約書や管理方法まで含めて一度整理しておくと安心です。税理士ドットコム