名義預金を解消する方法|相続前・相続後で異なる対策と贈与税の注意点

名義預金の解消方法と相続前・相続後の対応を示すアイキャッチ画像 相続税の申告

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親が子や孫の名義で預金していたことが分かり、「名義預金なら親の口座へ戻せばよいのか」「いったん戻してから改めて贈与すればよいのか」と迷う方もいらっしゃいます。

結論からいうと、名義預金を解消するために、最初からお金を動かすのはおすすめできません。まず、その預金が実質的に親の財産なのか、すでに子や孫への贈与が成立している財産なのかを確認する必要があります。

さらに、親が生きている「相続前」と、すでに亡くなっている「相続後」では対策が異なります。贈与が成立している財産を親へ戻せば、子から親への新たな贈与として贈与税の確認が必要になることもあります。

この記事では、名義預金の解消方法を相続前・相続後に分け、親へ戻す場合、改めて贈与する場合、相続後に見つかった場合の対策と、贈与税の注意点を整理します。読み終えると、資金を動かす前に何を確認すべきか判断しやすくなります。

名義預金の解消方法は「相続前」と「相続後」で異なる

名義預金の解消方法は一つではありません。「親が生きているか」と「そのお金が実際には誰の財産か」の2点によって、取るべき対策が変わります。

時点財産の実態基本的な対応主な注意点
相続前実質的に親の財産親本人の財産として管理状態を整理する資金の出どころと移動記録を残す
相続前すでに贈与が成立している子・孫など受贈者の財産として管理する無償で親へ戻すと子から親への贈与となる可能性がある
相続後死亡時に実質的に親の財産相続財産として整理する相続税申告や遺産分割上の確認が必要
相続後生前に贈与が成立していた贈与済み財産として事実関係を整理する贈与税や相続税への加算の確認が必要になる場合がある

重要なのは、「名義預金だから親へ戻す」と先に結論を出さないことです。資金を動かす前に、どのケースに当てはまるかを確認しましょう。

相続税申告まで関係しそうで、税理士へ相談するタイミングや準備資料を確認したい方は、次の記事で流れを整理しています。

相続税申告を税理士に依頼する流れ|準備資料と相談前の手順

名義預金を解消する前に「本当は誰の財産か」を確認する

名義預金を解消する前に、最初に確認したいのは「その預金が本当は誰の財産なのか」です。

贈与は、贈与する人が財産を無償で与える意思を示し、受け取る人がそれを受諾することで成立します。そのため、単に親が子名義の口座へお金を入れただけでは、「子へ贈与済み」とは判断できない場合があります。

相続が開始すると、口座の名義にかかわらず、被相続人が資金を出していたことなどから被相続人の財産と認められる預貯金は、相続税の課税対象になります。

したがって、資金を動かす前に、過去に贈与が成立していたのかを確認することが重要です。判断するときは、次の点を整理してください。

  • 誰のお金を入れたのか
  • 親と子の間で「あげる・もらう」という合意があったか
  • 通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が管理していたか
  • 名義人がその預金を自分の判断で使える状態だったか
  • 贈与契約書や贈与税申告書などの記録があるか

名義預金そのものの判断基準を詳しく確認したい方は、先に次の記事をご覧ください。

名義預金とは?相続税で問題になる判断基準と対策

相続前に名義預金を解消する方法

親が生きているうちに名義預金へ気づいた場合は、財産の実態を確認したうえで、今後誰の財産として持つのかを整理します。

実質的に親の財産なら親本人の財産として整理する

子名義の口座でも、親が自分のお金を預け、贈与の合意がなく、親自身が管理していたのであれば、実質的には親の財産と考える余地があります。

そのように整理できる場合は、親本人の口座へ資金を移し、実際の所有者と管理状態を一致させることが対応方法の一つになります。

ただし、単に振り替えるだけではなく、「どの口座から」「いつ」「いくら」「どの口座へ」移したかが分かる通帳や振込記録を残しておきましょう。

今後、子や孫へ渡したいなら改めて贈与を検討する

もともとの名義預金が親の財産だったとしても、親が今後そのお金を子や孫へ渡したいのであれば、財産関係を整理したうえで、改めて贈与する方法があります。

この場合は、「以前から子名義だったから、すでに贈与済み」とするのではなく、贈与する時点で親と子の意思を確認し、資金移動と管理状態を一致させることが大切です。

贈与が成立していたかを確認するポイントは、先ほどの「名義預金を解消する前に「本当は誰の財産か」を確認する」をご確認ください。

贈与契約書を作成する場合も、書類だけで終わらせず、受贈者が自分の財産として管理できる状態にすることが大切です。

すでに贈与が成立しているなら親へ戻さない

反対に、過去に贈与の合意があり、子や孫がその財産を受け取り、自分の財産として管理していたことを確認できる場合は、すでに受贈者の財産となっている可能性があります。

この状態で子がその財産を親へ無償で戻すと、今度は子から親への新たな贈与となり、原則として贈与税の課税対象になります。実際に贈与税額が発生するか、申告が必要かは贈与額や課税方式などによって異なります。

したがって、「名義預金かもしれない」という理由だけで親へ戻さず、過去の贈与が本当に成立していたかを先に確認することが重要です。

名義預金を親に返すと贈与税はかかる?

親へ資金を戻したからといって、必ず贈与税がかかるわけではありません。もともと誰の財産だったかによって結論が変わります。

戻す前の財産関係結論理由
実質的にもともと親の財産原則として贈与税はかからない親の財産を本人名義へ戻して管理状態を整理するため
すでに子への贈与が成立している無償で親へ戻すと、原則として贈与税の課税対象になる子の財産を親へ無償で移すため、子から親への新たな贈与となる
どちらか判断できない先に資金を動かさない贈与が成立していたかを確認してから対応を決める必要があるため

改めて贈与するときの贈与税の注意点

110万円以下でも「贈与の成立」が必要

暦年課税には、受贈者1人につき1年間110万円の基礎控除があります。ただし、110万円以下であることと、贈与が成立していることは別の問題です。

親が子名義の口座へ毎年110万円以下を入れていても、贈与が成立していなければ、その預金は名義預金として親の財産と判断される可能性があります。つまり、110万円以下に抑えるだけでは名義預金を解消できません。

課税方式によって扱いが異なる

贈与税には暦年課税だけでなく相続時精算課税があります。現在は相続時精算課税にも年110万円の基礎控除がありますが、制度を選択した後の取扱いや相続時の計算は暦年課税と異なります。

名義預金を解消することだけを目的に課税方式を選ぶのではなく、今後の生前贈与や将来の相続税まで含めて検討しましょう。

相続後に名義預金が見つかった場合の対応

親が亡くなった後は、「親の口座へ戻して名義預金を解消する」という対応はできません。相続開始時点で、その預金が実質的に誰の財産だったかを確認します。

相続開始時点で実質的に被相続人の財産だったのであれば、家族名義の預金であっても相続財産として整理します。相続税の申告が必要な場合は、申告する財産に含める必要があります。

また、相続税だけでなく、遺産分割上どのように扱うかの確認が必要になることがあります。相続人間で財産の帰属について争いがある場合は、弁護士など法律の専門家への相談も検討してください。

すでに相続税申告を終えた後に名義預金へ気づいた場合は、申告内容を見直し、修正申告が必要か税理士へ確認します。

10年前・20年前の預金や、すでに解約した口座について確認したい方は、次の記事で詳しく整理しています。

名義預金の時効は?10年前・解約済みでも相続税の対象になるケース

名義預金を解消するときにやってはいけないこと

名義預金に気づいたときは、「早く直さなければ」と考えて資金を動かしたくなります。しかし、事実関係を確認する前の対応によって、かえって説明が難しくなる場合があります。

避けたい対応理由先にすること
確認せず親の口座へ戻すすでに贈与済みなら子から親への贈与となる可能性がある誰の財産か確認する
口座を解約すれば解消したと考える解約後も資金の帰属は残る解約後の移動先まで確認する
110万円以下なら無条件に贈与済みと考える金額と贈与の成立は別問題贈与の合意・管理状況を確認する
過去に贈与の合意がなかったのに、あったように見せる書類を作る実際の経緯と資料が食い違う現在分かる事実をそのまま整理する
相続後に相続人1人の判断で資金を移す相続税だけでなく遺産分割上の問題が生じることがある相続開始時点の財産関係を確認する

名義預金を整理する前に用意したい資料

税理士へ相談する場合も、最初からすべての資料を完璧にそろえる必要はありません。まず、資金の出どころと管理状況を確認できる資料から集めましょう。

資料確認できること
現在の通帳・預金証書現在残高・口座名義・入出金
過去の取引履歴いつ、誰から資金が入ったか
解約明細解約日・解約金額・資金の移動先
贈与契約書贈与の合意・時期・金額
贈与税申告書過去の申告状況
通帳・印鑑・カードの管理状況誰が実際に預金を管理していたか
相続開始後の場合は財産一覧・相続税申告書名義預金を加えた場合の申告への影響

税理士へ確認した方がよいケース

次のような場合は、資金を動かす前に相続税に対応できる税理士へ確認することをおすすめします。

  • 名義預金なのか、すでに贈与された財産なのか判断できない
  • 親の口座へ戻すべきか分からない
  • 名義預金の金額が大きい
  • 複数年にわたって子や孫名義へ入金している
  • いったん親へ戻してから改めて贈与したい
  • 相続開始後に名義預金が見つかった
  • すでに相続税申告を済ませている

税理士であれば、通帳や取引履歴、資金の出どころ、贈与契約、管理状況などを確認し、「親の財産として整理するのか」「贈与済み財産なのか」「相続税申告に含める必要があるのか」を税務面から検討できます。

名義預金を含む相続財産の確認や相続税申告まで見据えて税理士を探す場合は、税理士ドットコムの紹介サービスで、地域や依頼内容などの希望条件を伝えて税理士の紹介を受ける方法があります。利用者側の紹介料は無料で、紹介された税理士が希望に合わなければ断ることもできます。

名義預金の解消方法についてよくある質問

名義預金は親の口座へ戻せば解消できますか?

実質的にもともと親の財産で、贈与が成立していなかったのであれば、親本人の口座へ戻して管理状態を整理することは方法の一つです。ただし、すでに贈与が成立している場合は結論が変わるため、先に財産の帰属を確認してください。

子名義の口座を解約すれば名義預金ではなくなりますか?

解約だけでは判断できません。解約後のお金がどこへ移り、その後誰の財産として管理されているかまで確認する必要があります。

贈与契約書を作れば過去の名義預金を贈与済みにできますか?

契約書を作るだけで、過去に贈与がなかったものを贈与済みにできるわけではありません。過去に実際に贈与の合意があったか、名義人が財産を管理できていたかなど、実態も確認する必要があります。

毎年110万円以下にすれば名義預金を解消できますか?

できません。110万円は贈与税の基礎控除に関する金額であり、贈与そのものが成立しているかどうかとは別の問題です。贈与が成立していなければ、110万円以下でも名義預金として扱われる可能性があります。

親が亡くなった後でも親の口座へ戻せますか?

相続開始後は、親へ戻して解消するという考え方ではなく、死亡時点で誰の財産だったかを確認します。実質的に被相続人の財産であれば、相続財産として相続税申告や遺産分割上の取扱いを確認します。

まとめ|名義預金は資金を動かす前に「誰の財産か」を確認する

名義預金を解消するときは、「親の口座へ戻せば終わり」と考えず、まず実際の財産の持ち主を確認することが重要です。

  • 相続前と相続後では対策が異なる
  • 実質的に親の財産なら、親本人の財産として管理状態を整理する
  • すでに贈与が成立している場合は、安易に親へ戻さない
  • 改めて贈与する場合は、まず贈与の成立と管理状態を確認する
  • 相続後に見つかった場合は、相続開始時点の財産帰属を確認する
  • 判断できない場合は、資金を動かす前に税理士へ確認する

通帳や取引履歴を整理しても判断できない場合は、自己判断で口座を解約したり資金を移したりせず、相続税に対応できる税理士へ確認するとよいでしょう。

情報確認日:2026年8月14日