相続税の税務調査はいつ来る?対象になりやすいケースと対策

相続税の税務調査がいつ来るかと対象になりやすいケースを示す申告書と通帳のイメージ 相続税の申告

相続税の申告を終えた後、「税務調査はいつ来るのか」「一般家庭でも調査対象になるのか」「通帳や家族名義の口座まで調べられるのか」と不安になる方は少なくありません。

結論からいうと、相続税の税務調査は、申告後すぐに必ず来るものではありません。ただし、申告内容に確認すべき点がある場合や、申告漏れが疑われる場合には、申告後しばらくして税務署から連絡が来ることがあります。実務上は、相続税の申告期限から1〜2年後を一つの目安として考えられることが多いです。

この記事では、相続税の税務調査が来やすい時期、対象になりやすいケース、税務署が確認しやすい資料、連絡が来たときの対応方法を初心者向けに整理します。読後には、自分の申告で注意すべき点と、税理士へ相談すべきタイミングを判断しやすくなります。

相続税申告を自分で進めた場合や、名義預金・死亡前の預金移動・不動産評価に不安がある場合は、早めに専門家へ確認しておくと安心です。

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相続税の税務調査はいつ来る?

相続税の税務調査は、相続税申告後にすぐ来るとは限りません。一般的には、申告期限から1〜2年後に連絡が来るケースが多いとされています。ただし、これはあくまで実務上の目安であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。

相続税の申告期限は、原則として、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば、1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が申告期限になります。

参考:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

税務署は、提出された申告書だけでなく、金融機関の資料、不動産情報、過去の所得状況、家族名義の財産の動きなどを確認し、必要があると判断した場合に調査を行います。そのため、「申告書を出したらすぐ終わり」ではなく、申告後もしばらくは資料を整理して保管しておくことが大切です。

時期の目安起こりやすいこと読者がすること
相続開始から10か月以内相続税申告・納税財産一覧、通帳、不動産資料を整理する
申告後すぐ〜1年程度税務署内で申告内容の確認が進む申告書控えと根拠資料を保管する
申告期限から1〜2年後税務調査の連絡が来ることがある税理士に依頼している場合は連絡を共有する
それ以降個別事情により確認が入る可能性もある預金移動や贈与資料を捨てずに保管する

特に、相続税の申告を自分で行った場合、税務署からの連絡にどう対応すればよいか迷いやすくなります。自分で申告できるケースと税理士へ依頼した方がよいケースは、こちらの記事でも整理しています。

相続税申告は自分でできる?難しいケースと税理士に頼む判断基準

相続税の税務調査はどのくらい行われている?

国税庁の令和5事務年度の資料によると、相続税の実地調査件数は8,556件、追徴税額合計は735億円でした。実地調査とは、税務署の職員が相続人や関係者に確認を行い、申告内容や財産状況を詳しく調べる調査です。

また、税務署は実地調査だけでなく、文書、電話、来署依頼などによる「簡易な接触」も行っています。令和5事務年度の簡易な接触件数は18,781件、申告漏れ等の非違件数は5,079件、追徴税額合計は122億円とされています。

参考:国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況

ここで大切なのは、「実地調査だけが税務署からの確認ではない」という点です。自宅に調査官が来る本格的な調査だけでなく、電話や文書で確認を求められることもあります。

雑誌記事などでも、近年は電話・文書・来署依頼による確認が注目されていますが、実務上も、申告内容に不明点がある場合は、まず簡易な接触で確認が入ることがあります。したがって、税務署から連絡が来た場合は、慌てずに申告書控えと資料を確認することが重要です。

税務調査の対象になりやすいケース

相続税の税務調査は、すべての家庭に一律で行われるわけではありません。税務署は、申告額が少ない可能性がある事案、申告義務があるのに申告していない可能性がある事案などを中心に確認します。

国税庁の資料でも、相続税の実地調査は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告であると想定される事案等について実施したと説明されています。

対象になりやすいケース理由申告前後の対策
預金の動きが大きい死亡前の引き出しや振込が使途不明になりやすい通帳、領収書、使途メモを残す
家族名義の預金がある名義預金として相続財産に含まれる可能性がある資金の出どころと管理者を確認する
不動産評価が複雑土地評価や特例の適用で税額が大きく変わる評価明細、路線価、固定資産税資料を保管する
生命保険や名義保険がある受取人や保険料負担者により課税関係が変わる保険証券、支払者、受取人を整理する
生前贈与が多い贈与税申告漏れや相続財産への加算が問題になりやすい贈与契約書、通帳、申告書控えを確認する
申告しなかった無申告事案として確認される可能性がある申告義務がないか早めに税理士へ確認する

一般家庭であっても、預金の動きが大きい、不動産、生命保険、家族名義口座、生前贈与がある場合は、多少なりとも税務調査の可能性があります。重要なのは、「財産が多いか少ないか」だけでなく、「申告内容を説明できる資料があるか」です。

名義預金について詳しく確認したい方は、こちらの記事も参考になります。

名義預金とは?相続税で問題になる判断基準と対策

税務調査では何を調べられるのか

相続税の税務調査では、申告書に記載された財産だけでなく、申告漏れがないかを確認するために、被相続人や家族の預金の動き、不動産、生命保険、生前贈与などが確認されます。被相続人とは、亡くなった人のことです。

特に見られやすいのは、死亡前後の預金移動です。死亡直前に大きな引き出しがある、家族名義の口座へ振り込まれている、定期預金を解約して別口座に移している、といった場合は、使途や資金の帰属を説明できるようにしておく必要があります。

確認されやすい資料見られる内容準備しておくこと
被相続人の通帳大きな引き出し、振込、定期預金の解約死亡前数年分の取引履歴を整理する
家族名義の口座被相続人からの入金、名義預金の有無資金の出どころと管理者を説明できるようにする
不動産資料土地評価、家屋評価、小規模宅地等の特例固定資産税通知書、登記事項証明書、路線価資料を保管する
生命保険資料死亡保険金、保険料負担者、受取人保険証券と支払履歴を確認する
贈与資料生前贈与、贈与税申告、相続財産への加算贈与契約書、申告書控え、通帳を保管する

税務調査は、「税務署にすべてを疑われる」というより、申告書と実際の財産状況にズレがないかを確認する手続きです。したがって、資料を捨てずに保管し、説明できる状態にしておくことが最も重要です。

税務調査で特に注意したい財産

相続税の税務調査で特に注意したいのは、預貯金、名義預金、名義保険、不動産評価、生前贈与です。これらは、申告漏れや評価誤りが起きやすく、税額への影響も大きくなりやすいからです。

たとえば、親が子ども名義の口座を作り、通帳や印鑑を親自身が管理していた場合、口座名義は子どもでも、実質的には親の財産と判断される可能性があります。また、死亡前にまとまった現金を引き出し、使途を説明できない場合も、相続財産の申告漏れとして問題になることがあります。

次の記事では、名義預金が税務調査で問題になりやすい理由を詳しく整理しています。家族名義の預金や死亡直前の引き出しがある場合は、あわせて確認してください。

名義預金は税務調査でばれる?調べられるポイントと注意点

不動産がある場合は、土地や建物の評価額も重要です。特に、路線価評価、小規模宅地等の特例、貸家建付地、マンション評価などは、計算方法によって相続税額が大きく変わることがあります。

不動産の相続税評価額とは?土地・建物・マンションの違い

税務署から連絡が来たときの対応手順

税務署から相続税の税務調査に関する連絡が来た場合、まずは落ち着いて内容を確認しましょう。電話が来たからといって、その場で詳しい説明をすべて行う必要はありません。相続税申告を税理士に依頼していた場合は、まず税理士へ連絡するのが基本です。

手順すること注意点
1税務署名、担当者名、用件をメモする慌てて即答しない
2申告書控えと財産資料を確認する通帳、不動産、保険、贈与資料をそろえる
3申告を依頼した税理士に連絡する税理士がいる場合は対応窓口を一本化する
4指摘されそうな論点を整理する名義預金、使途不明金、生前贈与を確認する
5必要に応じて税理士に立会いを依頼する自分だけで判断しない

税務調査では、聞かれたことに対して、分かる範囲で正確に答えることが大切です。分からないことを推測で答えたり、記憶があいまいなまま断定したりすると、後で説明が食い違う可能性があります。

相続税の税務調査に不安がある場合は、資料を整理したうえで、相続税に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。

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税務調査を受ける前にできる対策

税務調査への一番の対策は、申告前から財産と資料を正確に整理することです。税務調査が来てから慌てて資料を探すのではなく、申告時点で説明できる状態にしておくことが重要です。

具体的には、次の資料をまとめておくとよいでしょう。

  • 被相続人名義の全口座の通帳・残高証明書
  • 死亡前数年分の大きな入出金の使途メモ
  • 家族名義口座へ資金移動がある場合の説明資料
  • 生命保険証券と保険料支払者の資料
  • 不動産の固定資産税通知書、登記事項証明書、評価資料
  • 贈与契約書、贈与税申告書控え
  • 葬儀費用、医療費、介護費用などの領収書

特に、死亡直前の引き出しや家族名義口座への入金は、後から説明が難しくなりやすい項目です。金額が大きい場合は、早めに税理士へ相談し、相続財産に含めるべきか、説明資料をどう整えるべきかを確認しましょう。

相続税申告を税理士に依頼する流れや、相談前に準備する資料はこちらの記事で整理しています。

相続税申告を税理士に依頼する流れ|準備資料と相談前の手順

税務調査で申告漏れが見つかった場合のリスク

税務調査で申告漏れが見つかると、本来納めるべき相続税に加えて、加算税や延滞税がかかる場合があります。加算税とは、申告しなかった場合や少なく申告した場合に課される税金です。延滞税とは、納付が遅れた期間に応じてかかる利息のような税金です。

正当な理由なく相続税の申告期限までに申告しなかった場合は無申告加算税(10~20%)、実際に取得した財産の額より少ない額で申告した場合には過小申告加算税(5~15%)、このように本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります。

また、財産を隠した、名義を変えて分からないようにした、申告しないまま放置したなど、悪質と判断される場合には、重加算税(35~40%)が問題になることもあります。重加算税とは、仮装や隠蔽があったと判断された場合に課される重い加算税です。

ただし、すべての申告漏れが重加算税になるわけではありません。判断は個別事情によります。だからこそ、申告前や税務署から連絡が来た段階で、資料を整理し、税理士に相談しておくことが大切です。

税理士に相談した方がよいケース

相続税の税務調査は、相続人だけで対応できる場合もありますが、税務上の判断が難しいケースでは税理士に相談した方が安全です。特に、名義預金、不動産評価、生前贈与、無申告、修正申告が関係する場合は、専門家の確認が重要になります。

相談した方がよいケース理由準備する資料
税務署から調査連絡が来た対応方針を誤ると説明が不利になることがある申告書控え、税務署からの連絡メモ
名義預金がある相続財産か贈与済みか判断が難しい通帳、印鑑管理状況、贈与契約書
死亡前に大きな引き出しがある使途不明金として見られる可能性がある領収書、葬儀費用明細、使途メモ
不動産評価に不安がある評価誤りで税額が変わる可能性がある固定資産税通知書、登記簿、評価明細
申告していない財産に気づいた修正申告や期限後申告が必要な場合がある財産資料、入出金履歴、保険証券

税務調査が来るかどうかを完全に予測することはできません。しかし、税務署から確認されやすい論点を事前に整理し、説明できる資料をそろえておくことで、不安を大きく減らせます。

相続税の税務調査、名義預金、死亡前の預金移動、不動産評価に不安がある場合は、早めに税理士へ相談しましょう。

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よくある質問

相続税の税務調査はいつ来ますか?

実務上は、相続税の申告期限から1〜2年後に連絡が来るケースが多いとされています。ただし、必ずその時期に来るわけではなく、申告内容や個別事情によって異なります。

一般家庭でも相続税の税務調査は来ますか?

来る可能性はあります。相続税の税務調査は富裕層だけのものではありません。預金の動き、名義預金、不動産評価、生前贈与、申告漏れの可能性がある場合は、一般家庭でも確認対象になることがあります。

税務調査では何年分の通帳を見られますか?

一律に何年分と決まっているわけではありませんが、死亡前数年分の預金移動は確認されやすいと考えておくべきです。特に、大きな引き出し、家族口座への振込、定期預金の解約がある場合は、使途を説明できるようにしておきましょう。

税務署から電話が来たらすぐ答えるべきですか?

その場で無理に詳しく答える必要はありません。税務署名、担当者名、用件をメモし、申告書控えや資料を確認したうえで対応しましょう。税理士に依頼している場合は、まず税理士へ連絡してください。

税務調査が来たら必ず追徴課税されますか?

必ず追徴課税されるわけではありません。ただし、申告漏れや評価誤りが見つかれば、追加の相続税、加算税、延滞税がかかる場合があります。資料を整理し、説明できる状態にしておくことが重要です。

まとめ:税務調査は「来るかどうか」より「説明できる準備」が大切

相続税の税務調査は、申告後すぐに必ず来るものではありません。ただし、申告内容に確認すべき点がある場合、申告期限から1〜2年後を目安に連絡が来ることがあります。

調査対象になりやすいのは、預金移動が大きい、家族名義の口座がある、不動産評価が複雑、生命保険や生前贈与がある、申告していない財産があるといったケースです。

大切なのは、税務調査を過度に怖がることではなく、申告内容を説明できる資料をそろえておくことです。通帳、残高証明書、不動産資料、保険証券、贈与契約書、領収書などを整理し、不安な点があれば早めに税理士へ相談しましょう。

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関連して、次の記事も確認しておくと、税務調査リスクを整理しやすくなります。