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親が子や孫の名義で預金していたことが分かり、「もう10年以上前の預金だから時効ではないか」「すでに口座を解約しているから相続財産にはならないのでは」と考える方もいらっしゃいます。
結論からいうと、10年前や20年前に作った口座だからという理由だけで、相続税の対象から外れるわけではありません。相続開始時点で実質的に亡くなった方の財産であれば、子や孫など家族名義の預金でも相続財産として確認する必要があります。
また、口座がすでに解約されていても、それだけで問題がなくなるわけではありません。解約したお金がどこへ移ったのか、過去に本当に贈与が成立していたのかを確認することが重要です。
この記事では、名義預金の「時効」を中心に、10年前の預金、解約済みの預金、親へ戻した場合、名義人が使ってしまった場合を整理します。読み終えると、ご自身で確認できることと、税理士へ確認した方がよいケースを分けやすくなります。
名義預金に時効はある?10年前でも確認が必要
名義預金については、「何年前に口座を作ったか」よりも、相続開始時点でそのお金が実質的に誰の財産だったかが重要です。
国税庁は、口座の名義にかかわらず、被相続人が取得のための資金を出していたことなどから被相続人の財産と認められる預貯金は、相続税の申告に含める必要があるとしています。
たとえば、父が15年前に子名義の定期預金を作り、父自身のお金を預け、通帳や印鑑も父が管理していたとします。子がその預金の存在を知らず、自由に使うこともできなかったのであれば、「15年前の預金だから」という理由だけで子の財産になったとは判断できません。
名義預金そのものの基本的な判断基準から確認したい方は、先に次の記事をご覧ください。
「10年前だから時効」と考えない方がよい理由
「贈与税には期間制限があると聞いたので、10年以上前の名義預金も問題にならないのでは」と考えることがあります。しかし、ここでは2つの話を分ける必要があります。
- その預金について、本当に贈与が成立していたのか
- 相続税について税務署が更正・決定できる期間はいつまでか
そもそも贈与は、贈与する人が「あげる」と意思表示し、受け取る人が「もらう」と受諾することで成立します。親が一方的に子名義の口座を作り、子がその存在も知らなかったのであれば、単に口座名義が子になっていることだけで贈与が成立したとは言い切れません。
一方、国税通則法には税務署が更正・決定できる期間の制限があります。原則として法定申告期限から5年で、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合などには7年となる規定があります。
ただし、「名義預金を作ってから5年たてば相続財産でなくなる」という意味ではありません。
口座を作った日と、被相続人が亡くなった後の相続税申告に関する期間制限は別の問題です。
名義預金かどうかは「誰のお金か」で判断する
名義預金かどうかを確認するときは、口座名義だけではなく、資金の出どころや管理状況などを整理します。
| 確認項目 | 確認する内容 | 名義預金を疑う例 |
|---|---|---|
| 資金の出どころ | 誰の収入・退職金等から入金したか | 全額を親が負担している |
| 贈与の合意 | あげる・もらうという合意があったか | 名義人が口座の存在を知らない |
| 通帳等の管理 | 通帳・印鑑・カードを誰が保管したか | 親が継続して管理している |
| 利用状況 | 名義人が自由に使えたか | 親の許可なしでは引き出せない |
| 記録 | 贈与契約書や贈与税申告書等があるか | 贈与を裏付ける資料がない |
1項目だけで機械的に判断するのではなく、実際の経緯をまとめて確認することが重要です。
解約済みの名義預金はどうなる?
口座を解約しただけでは、名義預金の問題が自動的に消えるわけではありません。重要なのは、解約後のお金がどこへ行き、その後誰の財産として管理されていたかです。
| 状況 | 確認すべきこと | 考え方 |
|---|---|---|
| 解約して親本人の口座へ戻した | もともと親の財産だったか | もともと親の財産なら、親本人の財産として整理する方向 |
| 解約して別の家族名義口座へ移した | 贈与が成立したか、誰が管理したか | 名義を変えただけでは所有者が変わったとは限らない |
| 解約後に現金で保管していた | 死亡時に誰の財産として残っていたか | 被相続人の財産なら相続財産として確認する |
| 名義人が解約して使用した | 被相続人が使用を認めていたか、贈与だったか | 事実関係により贈与・貸付け等の判断が変わる |
| 生前に適切な贈与が成立していた | 贈与時期・契約・管理状況 | 名義預金とは別に、生前贈与の税務確認が必要になる場合がある |
「解約済みだから大丈夫」と結論を出すのではなく、解約前の原資から解約後の移動先までを一本の流れとして確認するのがポイントです。
解約済みの名義預金は、口座を閉じたという事実だけでは相続財産から外してよいか判断できません。解約前の資金の出どころ、解約後の移動先、誰がその資金を管理していたかまで確認する必要があるためです。
相続税申告が得意な税理士であれば、通帳・解約明細・取引履歴などを確認し、解約済みの預金を相続税申告でどのように扱うべきか整理できます。
資料を見ても判断できない場合は、税理士紹介サービスの税理士ドットコムで相続税に対応する税理士を探す方法があります。利用者側の紹介料は無料です。
名義預金を親に返せば解消できる?
親が自分のお金を子名義の口座に入れただけで、贈与が成立しておらず、実質的に親の財産だった場合には、親本人の口座へ戻すことは、もともと親の財産を本人名義へ整理する方法の一つになります。
ただし、ここで最も注意したいのは、「本当に贈与が成立していなかったのか」を確認する前に資金を動かさないことです。
すでに贈与が成立して子の財産になっていたのであれば、子から親へ資金を移すことは別の財産移転として検討する必要があります。
そのため、「名義預金らしいので、とりあえず親へ返しておけばよい」と一律に考えないようにしましょう。
名義預金を解消する具体的な手順については、別記事で「親へ戻す場合」「改めて贈与する場合」「相続開始後の場合」に分けて詳しく整理します。
名義人が預金を使ってしまったら?
実際の相続相談では、「子名義の預金を子本人が使ってしまった」というケースもあります。
名義人が使ったという事実だけで、自動的に過去のすべての預金が贈与済みになるわけではありません。誰がその使用を認めたか、何のために使ったか、返す約束があったかなどを確認する必要があります。
親が生きている間に名義人が使った場合
親が「このお金はあなたにあげるので自由に使ってよい」と認め、名義人も受け取る意思を示したのであれば、その時点で贈与が成立したと考える余地があります。
この場合は、贈与額や適用する課税方式等に応じて贈与税の申告要否を確認します。
一方、扶養義務者である親から、子の通常必要な生活費や教育費として、必要な都度直接その費用に充てた場合は、贈与税がかかりません。
ただし親の生活費を代わりに支払っただけ、後で返す約束で借りた、親に無断で引き出したといった事情であれば、贈与が成立したとは言いがたく、個別に判断する必要があります。
親が亡くなった後に名義人が使った場合
相続開始時点でその預金が実質的に被相続人の財産だった場合、他の財産と合わせて相続財産として確認し、相続税の申告が必要な場合は申告に含めます。
相続税申告だけでなく、遺産分割や他の相続人との精算が問題になる場合もあります。相続人間で争いがある場合は、税理士だけでなく弁護士への確認が必要になることがあります。
亡くなった後に名義人が預金を使っている場合でも、そのお金が相続開始時点で誰の財産だったかを確認する必要があります。使用した時期や金額だけでなく、預金の原資や生前の管理状況によって相続税上の扱いが変わるためです。
相続税申告が得意な税理士であれば、通帳や取引履歴などから相続開始時点の財産関係を整理し、相続財産として申告に含める必要があるかを確認できます。
税務上の判断に迷う場合は、税理士ドットコムで相続税に対応する税理士を探す方法があります。
なお、相続人間で争いが生じている場合は、弁護士への相談も検討してください。
名義預金が気になるときの確認手順
名義預金を疑う口座がある場合は、いきなりお金を動かすのではなく、まず事実関係を整理しましょう。
| 順番 | 確認すること | 用意する資料 |
|---|---|---|
| 1 | 誰のお金を入れたか | 通帳、振込履歴、給与・退職金等の資料 |
| 2 | いつから入金していたか | 過去の取引明細 |
| 3 | 誰が管理していたか | 通帳、印鑑、キャッシュカードの保管状況 |
| 4 | 贈与の合意があったか | 贈与契約書、贈与税申告書、家族間の記録 |
| 5 | 解約・使用後のお金の行方 | 解約明細、移動先口座、領収書等 |
この5点を整理すると、「10年以上前だから」「子名義だから」といった形式的な判断ではなく、実際の財産の帰属を検討しやすくなります。
税務調査で名義預金についてどのような点が確認されるのかも知りたい方は、次の記事もご確認ください。
名義預金は税務調査でばれる?調べられるポイントと申告前の対策
税理士へ相談した方がよいケース
名義預金は、単に口座残高を見るだけでは判断しにくい財産です。特に次のケースでは、相続税申告から外してよいか自己判断せず、相続税に詳しい税理士へ確認することをおすすめします。
- 10年以上前から家族名義の預金があり、贈与の記録がない
- 親が通帳・印鑑・キャッシュカードを管理していた
- すでに口座を解約し、お金が複数の口座へ移っている
- 名義人がお金を一部または全部使っている
- 親へ戻すべきか、改めて贈与すべきか分からない
- 名義預金を加えると相続税の申告要否が変わりそう
- すでに相続税申告を済ませた後で名義預金に気づいた
相談前にすべての資料を完璧にそろえる必要はありません。まず「誰が資金を出したか」「誰が管理したか」「現在そのお金がどこにあるか」が分かる資料をまとめると、税理士へ状況を説明しやすくなります。
税理士へ相談するときの流れや準備資料を先に確認したい方は、次の記事で整理しています。
「名義預金なのか、すでに贈与された財産なのか分からない」「解約後のお金の流れまで確認してほしい」という場合は、相続税申告が得意な税理士へ確認すると、次に何をすべきか整理しやすくなります。
相続税申告が得意な税理士であれば、通帳・取引履歴・資金の出どころ・管理状況などを確認し、相続財産として扱う必要があるか、相続税申告でどのように対応すべきかを整理できます。
税理士ドットコムでは、地域や依頼内容などの希望条件を伝えて、相続税に対応する税理士の紹介を受けることができます。利用者側の紹介料は無料で、紹介された税理士が希望に合わなければ断ることもできます。
名義預金の時効についてよくある質問
名義預金は10年前のものなら相続税の対象外ですか?
10年前に作ったという理由だけで対象外にはなりません。相続開始時点で実質的に被相続人の財産だったかを確認する必要があります。
20年前の子ども名義の預金も確認する必要がありますか?
確認した方がよいでしょう。古い口座でも、資金の出どころ、贈与の合意、管理状況などから被相続人の財産と認められる場合があります。
解約済みなら名義預金ではなくなりますか?
解約しただけでは判断できません。解約後のお金がどこへ移り、誰の財産として管理されていたかを確認します。
名義預金を親の口座へ戻せば贈与税はかかりませんか?
もともと親の財産で、贈与が成立していなかったのであれば、親本人の口座へ戻すことは本人財産を整理する行為と考えられます。ただし、すでに贈与が成立していた場合は結論が変わるため、資金を動かす前に事実関係を確認してください。
子が名義預金を使ってしまったら贈与になりますか?
使ったことだけで一律に贈与とは断定できません。被相続人が使用を認めていたか、贈与する意思があったか、返済する約束だったかなどによって判断が変わります。
ここまで確認しても、ご家族名義の預金が「名義預金」なのか「すでに贈与された財産」なのか判断できない場合は、自己判断で相続税申告から除外しないことが大切です。
相続税申告が得意な税理士であれば、資金の出どころ、通帳の管理状況、取引履歴、解約後の資金移動などを確認し、相続財産として扱う必要があるか、申告上どのように対応すべきかを整理できます。
ここまで確認しても判断に迷う場合は、自己判断で相続財産から外さず、相続税申告が得意な税理士へ確認しましょう。税理士ドットコムなら、希望条件を伝えて相続税に対応する税理士を探すことができます。
まとめ|名義預金は「何年前か」より「誰の財産か」を確認する
名義預金を考えるときに最も重要なのは、「何年前に口座を作ったか」ではなく、相続開始時点でその預金が実質的に誰の財産だったかです。
- 10年前・20年前の口座でも、古いという理由だけで相続財産から外れない
- 税務上の期間制限と、名義預金を作った時期は分けて考える
- 解約済みでも、解約後のお金の行方を確認する
- 親へ戻す前に、本当に贈与が成立していなかったか確認する
- 名義人が使った場合も、使用の経緯や贈与意思を確認する
通帳、取引履歴、贈与契約書などを整理しても判断できない場合は、自己判断で相続財産から除外せず、相続税に詳しい税理士へ確認すると安心です。
情報確認日:2026年8月13日

